【講演・セミナー】経営安定セミナー(主催:徳山商工会議所)
当事務所の代表である牛見和博が、経営安定セミナー(主催:徳山商工会議所)において、下記のテーマで講師を務めましたので、ご報告申し上げます。
講 師 牛見和博(弁護士・中小企業診断士・ファイナンシャルプランナー)
テーマ 企業不祥事の発生事例解説とその適正な対処方法
場 所 徳山商工会議所
日 時 平成27年2月24日(火)14時~16時
当日配布しましたレジュメは、以下のとおりです。
1.近時の企業不祥事発生事例の分析
⑴ 近時の企業不祥事にはどのような特徴があるか
① 「法令違反・重大事故」から「社会の要請に反する行動」へ
ⅰ 法令違反・重大事故
例:PL事故(欠陥,異物混入,食中毒など),虚偽表示・不当表示,情報漏えい(個人情報,営業秘密など),カルテル・入札談合,労働問題(セクハラ・パワハラ,過労死,未払残業代など),役員・従業員の犯罪(横領・背任,痴漢,飲酒運転,暴行など),工場火災・爆発,環境法違反(土壌汚染,不法投棄など),粉飾決算・脱税
ⅱ 社会の要請に反する行動
例:対応の遅れ,事実の隠ぺい,反省ない態度,同様の事件・事故の繰り返し,など
② 不祥事が社外に漏れる可能性の増大
⑵ どのような企業に不祥事が発生しやすいか
① 役員・従業員が規範意識に乏しい,法令を知らない
② 法令順守のためのルールや,内部のチェック機能がない
③ 他社との競争が厳しい
⑶ 企業不祥事が発覚するパターン
① 法令違反・重大事故(一次不祥事)が発生
↓
② 役員・従業員,取引先,消費者,警察・行政機関,マスコミなどが認識する
↓
③ マスコミ(テレビ,新聞など)が取り上げる
↓
④ 会社が一次不祥事を開示・公表する
↓
⑤ 事実の隠ぺい,反省がない態度,同様の事件・事故の繰り返し(二次不祥事)が発生
↓
企業価値に重大な影響
2.企業不祥事が発生・発覚した場合の適正な対応
⑴ 被害拡大の防止
① 情報入手
② 原因究明
③ 被害拡大の防止措置の実施
⑵ 事実関係の調査の進め方
① 物的証拠の収集・保全
→ パソコン,携帯電話,執務机,ロッカー,手帳,取引関係書類など
② 関係者ヒアリング(供述証拠の収集・保全)
ⅰ 実施者
→ 上位の役職者,弁護士など
ⅱ 方法
・ ヒアリング対象者の属性を把握する
・ 物的証拠や関係供述を把握する
・ 質問事項を用意しておく
・ 回答を誘導しない
・ 具体的・詳細に聞く
③ 調査結果の取りまとめ
⑶ マスコミ対応を含む開示・公表のあり方
① 開示・公表の基準
ⅰ 第三者の生命・身体・財産への影響の大小
ⅱ 不祥事が社外に漏れる可能性の大小
② 開示・公表のタイミング
→ 正確な事実関係,原因と対策,今後の対応が確認できた段階
③ 良くない開示・公表
・ 社長が表に出ない
・ 対応が遅い
・ 事実を隠ぺいする
・ 事実関係が不正確,あいまい
・ うそを言う
・ 反省がない態度,言い訳をする
⑷ 刑事・民事責任の追及,被害回復の方法
① 刑事責任の追及(告訴・告発の検討)
② 民事責任の追及
ⅰ 懲戒処分の検討
→ 違法行為とのバランスをとる必要がある
ⅱ 損害賠償請求の検討
・ いくらの請求ができるか
・ 現実的に回収ができるか
・ コストはいくらかかるか
ⅲ 資産の保全
不動産,車,預貯金,生命保険,有価証券など
⑸ 再発防止のための留意点
① 事実関係をあいまいにしない,原因を究明する
② 原因を生み出した組織を見直す,関係者を処分する
③ 不祥事を再び起こさないための仕組みを作る
3.不祥事を未然に防ぐための対策
⑴ 法令順守のためのルール作り,社員教育を徹底する
⑵ 社員に対して,何よりも「社会的信用」を要求する
⑶ 一次不祥事は必ず発生するという前提で準備をしておく
2015年2月24日 | カテゴリー:講演・セミナー |